面影
会社帰りに買い物に行った。
いつものスーパー。
ぴょこりんさーん。
旦那っちに呼ばれる。
姫と一緒にあーだこーだと
お菓子を物色している。
どこを見ても旦那っちが見える。
自転車で帰る時も。
私の後ろに乗っている姫に負けないように、
猛スピードで先を走る旦那っち。
姫は「早く!早く!」と必至だった。
何でもない時間。
いつもの日常。
家に一緒にいることは少なかった。
家事もほとんどしてくれなかった。
それでも休みの日は手伝ってくれることもあった。
洗いものをしてるとき、
寂しさが止まらなかった。
手伝うよって言ってくれた旦那っち。
後ろから抱きしめてくれた旦那っちはもういない。
お皿を洗いながら、
ひとしきり泣いた。